脂質と聞いて何を連想しますか?
「五代栄養素」にも上げられ「タンパク質」「炭水化物」と並ぶ「3代栄養素」の「脂質」ですが、皆さんのイメージでは、脂肪やコレステロールといったような悪いイメージしか浮かばないのではないのでしょうか?しかしこの「脂質」「3大栄養素」にも上げられるだけあって結構重要な「栄養素」なんです。
脂質の働き
体内に体脂肪や内臓脂肪として蓄えられ、必要に応じて分解吸収されエネルギーとして使用されます。エネルギー源として使用される事で体温調節や身体を動かす力となります。エネルギー効率がとてもよく少量の「脂質」で多くのエネルギーを得ることができます。エネルギー効率が非常にいいので摂りすぎると中々消費しきれないという現象が起きてしまいます。一旦蓄えられる訳ですから、消費出来なかったものは、そのまま、体脂肪や内臓脂肪となってしまいます。このことから「脂質」には皆さんあまりいいイメージが無いのかも知れません。
脂質の種類
脂質には、その特性から2種類に分けられます。「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」です。その特性というのは、
脂質の種類 | 特性 | 含まれている食品 |
飽和脂肪酸 | 常温で固まる | バター・ラード(豚脂)・ヘット(牛脂)など |
不飽和脂肪酸 | 常温で固まらない | オリーブ油・亜麻仁油・エゴマ油など |
大きく分けて2種類ですが、「脂質」は、様々な「脂肪酸」の総称です。総称というからには、複数の種類があります。大きく分けた2種類を基に、「脂肪酸」について、ご説明していきます。
飽和脂肪酸
一概には言えないのですが、主に動物性の「脂肪酸」です。上の表にあるように、バターやラードといった乳製品や動物性の食品に多く含まれています。
脂肪酸の種類は「ラウリン酸」「ミリスチン酸」「パルミチン酸」「ステアリン酸」などがあります。「油やし」や「ココナッツオイル」からも摂取出来ます。
主にエネルギーとして使われやすい「脂肪酸」です。食品として摂取もしやすい上に、体内でも産生出来る「脂肪酸」なので過剰摂取になりやすい「脂肪酸」です。健康被害の出やすい「脂肪酸」とも言われています。過剰摂取に注意して摂取しましょう。
不飽和脂肪酸
「不飽和脂肪酸」は、更に3種類に分けられます、「n-3系脂肪酸」と「n-6系脂肪酸」と「n-9系脂肪酸」です。「多価不飽和脂肪酸」とも呼ばれています。
「n-3系脂肪酸」と「n-6系脂肪酸」の一部は体内で産生出来ない「脂肪酸」なので、食品から摂取する必要があります。そのため「必須脂肪酸」とも呼ばれています。調理油などから摂取するのがお手軽でおすすめです。
種類 | 名前 | 脂肪酸の働き | 含まれている食品 |
n-3系不飽和脂肪酸 | αリノレン酸 (必須脂肪酸) |
アレルギー疾患、高血圧、ガンなどを予防するといわれている。心臓血管系疾患を予防。 | シソ油、ごま油、菜種油、 アマニ油、くるみなど |
n-3系不飽和脂肪酸 | DHA (必須脂肪酸) |
高脂血症、高血圧、などの予防。脳の働きを正常に保つ。 | まぐろの脂身、さば、うなぎエゴマ、クルミ |
n-3系不飽和脂肪酸 | EPA (必須脂肪酸) |
血液の凝固を抑え血栓を予防。
血液中の中性脂肪を低下させ、動脈硬化や高脂血症などを予防するといわれている。 悪玉コレステロールを減らす。 |
まぐろ、かつお、あじ、さば、いわし、ぶりなど背中が青みがかった魚、うなぎ、さけなど |
n-6系不飽和脂肪酸 | リノール酸 (必須脂肪酸) |
血中コレステロールの低下効果、動脈硬化の予防効果があるが、悪玉コレステロールと共に、善玉コレステロールまで低下させてしまうといわれている。 | サフラワー油、ひまわり油、 綿実油、大豆油、コーン油など |
n-6系不飽和脂肪酸 | γリノレン酸 | 血糖値、血圧、血液中のコレステロールを低下させるといわれている。 | 月見草の油や種子、母乳、からすみ、くじら、にしんなど |
n-6系不飽和脂肪酸 | アラキドン酸 | 免疫機能の調節。
胎児や乳児の健康な発育をサポート。 |
ぶたレバー、卵黄、からすみ、さわらなど |
n-9系不飽和脂肪酸
(一価不飽和脂肪酸) |
オレイン酸 |
|
ひまわり油、サフラワー油、オリーブオイル、マカダミアナッツ、ヘーゼルナッツなど |
上の表の「脂肪酸の働き」だけを見ると、「脂質」悪いところないじゃない!と、思えますが最後にもう一つ「トランス脂肪酸」というものがあります。この「脂肪酸」は一時期欧米諸国で話題になりました。欧米人の食生活で「トランス脂肪酸」の「過剰摂取」が多く、その為に人体に悪影響を及ぼしている。との報告が上り、話題となりました。「天然由来」の物と「加工物」に含まれる「トランス脂肪酸」ですが、主に「マーガリン」「ファットスプレット」「ショートニング」などに含まれている物が危険視されていますが、これも他の栄養素と同じで、「摂取しすぎない事」が一番の予防です。
やはり最終的には、「バランス良くいろんな種類を食べる」というのが「健康の秘訣のようです」
しかし、いいものをバランス良く食べる事と、今自分が食べているものが、体にどんな働きをするのか理解して食べる方が、健康には近道かも知れません。
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