Power Automate(Power Automate Desktop・PAD)の使い方を調べると、例がたいてい Excel です。では、Excel が入っていない PC ではどうなるのでしょう。会社の PC にも家の PC にも Excel が無くて、表は LibreOffice で作っている、という人もいると思います。
Excel が入っていない Windows の PC を1台用意して、PAD と LibreOffice で実際に試しました。使えたこと・使えなかったこと・途中でつまずいた所を、出た画面のとおりに書きます。
PAD そのものは、Excel が無くても使えます。ただし、「Excel の起動」など「Excel」と名の付くアクションは使えませんでした。
代わりに、表の読み書きは CSV のアクションで、PDF にするのは LibreOffice に命令して、どちらもできました。
つまずいた所は3つ:CSV に書き出すと見出しが消える/LibreOffice の場所を書いた命令が「'C:\Program' は…」で止まる/作業フォルダーが空だと LibreOffice が見つからない。どれも直し方まで確かめました。
| やりたいこと | Excel が無い PC で | 使ったもの |
|---|---|---|
| Excel のアクション(Excel の起動など) | 使えない | — |
| 表を読む・書く | できる | CSV ファイルから読み取る/CSV ファイルに書き込む |
| できた表を開く | できる | LibreOffice Calc(文字コードは自動で UTF-8 と判定) |
| 表を PDF にする | できる | DOS コマンドの実行 + LibreOffice(soffice.com) |
試した PC と、Excel が無いことの確かめ方
試したのは、Windows 11 Pro の小さな PC です。Office は消してあり、代わりに LibreOffice(26.8.1.1)を入れました。PAD は Microsoft Store の版(11.2610)です。
「Excel が無い」と思っていても、どこかに残っていることがあります。次の3つを見て、どれにも無いことを確かめました。
C:\Program Files\Microsoft Officeのフォルダが無い(Program Files (x86)の側も)- Excel の本体
EXCEL.EXEがどこにも無い - 「アプリ」の一覧に Excel が無い(残っていたのは、Microsoft 365 の入口のアプリと、Teams の会議用の部品だけでした。どちらも Excel ではありません)
試し用のファイルは、家計簿ふうの小さな表です(日付・品目・金額が5行)。同じ中身で kakeibo.xlsx と kakeibo.csv を用意し、デスクトップの pad_libre_test フォルダに置きました。
「Excel の起動」はどうなる?
まず、PAD の「Excel」の中でいちばん最初に使う「Excel の起動」を置いて、実行してみました。

結果は、エラー リストに「Excel を起動できませんでした。」と出て止まりました。下の帯には「ステータス: 見つかったランタイム エラー」と出ています。
Microsoft の説明(Excel アクション リファレンス)には、PAD は「Excel との対話に COM オブジェクトを利用します」と書いてあります。COM は、Windows のアプリどうしがやり取りするための仕組みです。PAD は、PC に入っている Excel 本体を動かして表を扱う作りなので、Excel が無い PC では起動できない、ということです。
同じページの例外の一覧にも「Excel を起動できませんでした — Excel インスタンスを起動するときに問題が発生したことを示します」とあり、今回の画面と同じ文言でした。ただ、「Excel が入っていないと使えません」とはっきり書いた一文は、このページでは見つかりませんでした。
「Excel の起動」が使えないと、その後に続く「Excel ワークシートから読み取り」「Excel ワークシートに書き込み」なども、全部使えません(どれも「Excel の起動」で作った Excel インスタンスを使う作りです)。
CSV なら、Excel が無くても読み書きできる
PAD には、Excel を使わずに表を読み書きするアクションがあります。「ファイル」の中の「CSV ファイルから読み取る」と「CSV ファイルに書き込む」です。
1. CSV ファイルから読み取る

- ファイル パス:
C:\Users\(ユーザー名)\Desktop\pad_libre_test\kakeibo.csv - エンコード:UTF-8
- 「詳細」を開いて「最初の行に列名が含まれています」をオン
読み取った表は、変数 CSVTable に入ります。
2. CSV ファイルに書き込む
- 書き込む変数:
%CSVTable% - ファイル パス:
…\pad_libre_test\out.csv
これで実行すると、out.csv ができました。5行のデータは元と同じで、日本語も化けていません。
つまずき1:見出しの行が消える
ところが、できた out.csv を開くと、1行目の見出し(日付,品目,金額)がありませんでした。
読み取るときに「最初の行に列名が含まれています」をオンにしたので、見出しは表の「列の名前」として読み込まれています。書き込むほうは、何もしなければ列の名前を書き出しません。

書き込むほうの「詳細」にある「ファイルが存在する場合」は、初めから「既存の内容を上書きする」になっていました。同じ名前のファイルがあると、何も聞かずに中身が入れ替わります。
「CSV ファイルに書き込む」の「詳細」を開いて、「列名を含めます」をオンにします。もう一度実行すると、1行目に「日付,品目,金額」が入りました。
できた CSV は UTF-8 で、先頭に UTF-8 だと示す印(BOM)が付いていました。違いは、最後の行の後ろに改行が無いことだけでした(ふつうに使う分には困りません)。
LibreOffice Calc で開く
out.csv を右クリックして「プログラムから開く」→「LibreOffice Calc」で開くと、「テキストのインポート」の画面が出ます。

文字コードは「- 自動 -」のままで、その下に「Unicode(UTF-8)」と出ています。LibreOffice が自分で UTF-8 だと見分けて、見出しと5行が3つの列にきれいに分かれました。そのまま「OK」で開けます。
LibreOffice に PDF を作らせる
LibreOffice には、画面を出さずに命令だけでファイルを変換する使い方があります。PAD の「スクリプト」の中の「DOS コマンドの実行」から、この命令を呼びます。xlsx を PDF にしてみました。
つまずき2:「'C:\Program' は…」で止まる
最初は、LibreOffice の場所をそのまま書いた、次の1行を入れました。
"C:\Program Files\LibreOffice\program\soffice.exe" --headless --convert-to pdf --outdir "(出力先のフォルダ)" "(変換する xlsx)"
実行してもエラーの表示は出ず、PDF もできませんでした。「DOS コマンドの実行」が作る変数を見ると、こうなっていました。
| 変数 | 中身 |
|---|---|
CommandExitCode |
1(失敗) |
CommandOutput |
(空) |
CommandErrorOutput |
'C:\Program' は、内部コマンドまたは外部コマンド、操作可能なプログラムまたはバッチ ファイルとして… |
C:\Program Files の空白のところで切れています。パスの頭に付けた " が効いていません。
「DOS コマンドの実行」は、中でコマンド プロンプト(cmd)を使っているのだと思います。cmd には「行の頭が " で始まり、" が3つ以上あるときは、最初と最後の " を外す」という古い決まりがあり(cmd /? の説明にあります)、それで頭の " が取れたのだと考えています。
PAD の中で実際に cmd が使われているかは、確かめていません。エラーの文言がコマンド プロンプトのものなので、そう読んでいます。
直し方:作業フォルダーを使い、行の頭を ” にしない

soffice.com から始め、作業フォルダーに LibreOffice の場所を入れます。下の「生成された変数」の3つで、結果やエラーが確かめられます。- 作業フォルダー:
C:\Program Files\LibreOffice\program("は付けない) - DOS コマンドまたはアプリケーション:
soffice.com --headless --convert-to pdf --outdir "C:\Users\(ユーザー名)\Desktop\pad_libre_test" "C:\Users\(ユーザー名)\Desktop\pad_libre_test\kakeibo.xlsx"
命令が soffice.com から始まるので、行の頭は " になりません。
つまずき3:作業フォルダーが空だと見つからない
命令だけ書きかえて、作業フォルダーの欄が空のままだと、やはり PDF はできませんでした。soffice.com がどこにあるのか、PAD が分からないためです。作業フォルダーに LibreOffice の場所を入れて、はじめて通りました。
これで kakeibo.pdf ができました。

kakeibo.pdf(左上を切り出し)。見出しと5行が、日本語も含めてそのまま PDF になりました。どちらも LibreOffice を動かすものですが、soffice.com は変換が終わるまで待って、「convert … -> kakeibo.pdf using filter : calc_pdf_Export」のような結果の文字を返します。PAD の CommandOutput で結果を確かめたいときは、.com のほうが向いています。
LibreOffice の窓(「テキストのインポート」の画面も)が開いたままだと、変換がうまく動かないことがあるので、閉じてから実行してください(今回は閉じた状態で通りました。開いたままで失敗するかは試していません)。
できないこと・試していないこと
- Excel のアクションは全部使えません(セルの読み書き・保存・マクロの実行など)。
- LibreOffice Calc の画面を、PAD の画面操作で動かす方法は試していません。できるかもしれませんが、今回は書きません。
- LibreOffice 本来の形式(
.ods)の読み書きと、LibreOffice のマクロも試していません。
まとめ
Excel が無くても、PAD は使えます。表は CSV で読み書きして、見るのと PDF にするのは LibreOffice に任せる、という分け方なら、今回の範囲では問題なく回りました。
つまずいたのは、どれも小さな設定でした。
- CSV に書き出すときは「列名を含めます」をオンにする
- LibreOffice を呼ぶ命令は、行の頭を ” で始めない
- 作業フォルダーに LibreOffice の場所(
C:\Program Files\LibreOffice\program)を入れる
PAD でファイルを振り分ける。同じ仕事を Python と1000件で比べました。
→ Power Automate Desktopでファイルを拡張子ごとに自動で振り分ける|Pythonと同じ1000件で比べました
PAD の使い方をもう少し。Web の操作を記録すると、どこでつまずくか。
→ Power Automate Desktop のWebフローが止まる・違う値を取る|原因は「上から何番目」で覚えるセレクターでした
確かめた環境:Windows 11 Pro(Intel N150・メモリ16GB)・Office なし/Power Automate(Microsoft Store 版 11.2610)/LibreOffice 26.8.1.1。いずれも2026年10月19日。

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